マスク転売問題:なぜ自由より規制の方が良いのか
マスクの買い占めが規制された記念に、ブロマガで記事を書いた。
経済の目的は「必要とされるもの(需要)を効率よく供給する仕組み」。
故に、少数の買い占めによる需給バランスの乱れは経済的にも許容できない実態だ、という話はなんら間違っていない。
さらに個人的には、医薬品の非正規ルート(闇イチ化)中古品販売は公衆衛生の観点からも規制した方が良いと、思う
趣旨としてはこういった形。
しかし、昨日聞いていたラジオ「文化放送」の番組で、経済学者(森永と言ってたような?)が「マスクの転売を規制するより、自由にした方が収束する」というトンデモ論を堂々と発表していたので驚きだ。
おいおい、まじかよ。
単純な需給・供給曲線は「継続した取引」が前提で投資マインドを考慮すると結果が異なる
未だに単純な需給曲線でしかモノを見ない人がいるとは驚きだが、話の内容はこうだった。
「値段が高く売れると見越せば、例えば異業種からの参入などにより供給量が増える。金の流れとしては設備投資が増えた方が良い」
という内容だった。
ラジオのパーソナリティが質問で「でも、供給増えても今度のコロナが収まったら、在庫過多になるじゃないですか?」という質問にたいして経済学者は「それは自己責任でしょ」と答えていた。
パーソナリティ、グッジョブ(意図的かどうかはしらないが)。
残り少ない時間で、経済学者が自身の説の矛盾を答えてしまった。
あの後、繋がるように説明するとしたら「自己責任だからリスク回避のため、設備投資で供給を増やす方ではなく買い占める方向に金が流れてしまうのです」
金の実際の流れは投資マインドにより起こる。リスクの少ない方に金は流れやすくなる。
リスクと投資マインド:なぜ買い占める方向に金が流れたか
通常、設備投資による機械の耐用年数は、物にもよるが大体6~10年。
一方、ウィルスによる収束は過去の「SARS」「鳥インフルエンザ」を見ても2,3年。設備の無駄になってしまう。
つまり、設備投資でなった場合は「在庫」リスクの他、ほぼほぼ設備が無駄になることが明らかになる。
一方で買い占めの場合は設備はいらず在庫リスクのみを負えばよい。そして耐用年数がない分、短期決戦に向いている。
故にこのような買い占めの方に資本が流れ込み横行、供給に乱れが生じる形となる。
そして、これが何より「現在、発生しているマスク市場経済の実態」である。
そもそも需要と供給は永続した市場活動が前提
これは大学1年生ぐらいに習うと思うけど、そもそも高校の教科書に出てくるような自由市場を説明する時の需要・供給曲線は「永続した活動」が前提。
「終わりある経済活動」に対し、こうした最も単純な、モデルを適用すると間違った形が出てしまう。
最後に:結果を予想してみよう、どちらが効果的か
たとえば異業種からの設備投資が回って供給が増えるパターンを考えよう。
生産設備を作るために決済をもらう。
銀行に掛け合う(もっとも、この景気後退の局面ですんなり行けば、の話だが)
生産設備を作り、販路を開拓営業。
どのぐらい時間がかかるだろうか?そんなことより転売規制して需給バランスの改善に努めた方が、対応がスムーズ且つ無駄のなく効率的である気がするんだが。
それはここ数か月で分かることになるだろう。
おまけ:よくテレビに出る経済学者への雑感
コメンテーター系の経済学者の発言は、なぜかリスクを回避する投資マインドや、消費マインドを無視した発言をするイメージがある。
(テレビ見ないので詳しくは分からん)
実際の金の流れはこうした心理によってもたらされているのに、それを全く考慮しないモデルを当てはめてしまうので、実際にはトンチンカンな話になるケースが多い。
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