鈍感でない自殺者の感情には寄り添えないよ

2019-05-30日記・コラム, 日記・コラム・企画物自殺

何やら自殺防止の啓蒙ポスターのデザインが話題だ。

togetter.com

おそらく、ターゲットは若者で、若者の自殺防止が目的だと思うのだが、色々とずれた感性ということで話題になっていた。

一応参考までに、日本の若者の死因は「自殺」で昔から問題となっている。

2004年版、2014年と両方において日本の若者の死因トップは自殺。

(僕は日本を超えた韓国の若者の自殺率と、米国の「殺人」という欄に興味があるけども)

 

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自殺者への感性は、常にずれる

自殺者へのずれた感性は時々話題になり、批判されている。

死んだら負け論

死んだら負け発言で炎上の松本人志に「鴻上尚史の伝える力を見習え!」の声 | アサ芸プラス

死んだら負け。まさしくその通り。

自殺者は「自ら負けを認めて自殺する」からね。

人生の投了、ギブアップ。

この感性は、古代も現代も、そして物語に出てくる人物の自殺にも変わりはない。究極的には敗北者の末路が自殺とも言える。

だから、今人生に負けた人に対し「死んだら負け」と言っても、果たして気休めになるかどうかも分からん。特に職場に関してはこういったバイタリティ精神に溢れる人が、自殺の要因になっている可能性すらある。

(追記)

話題になってましたね。

「死んだら負け」で追い詰めないで 高橋まつりさんの母 過労自殺の悲劇訴え続け - 毎日新聞

自殺者の残したブログに対する、理解力について

想像力の向こう側 - チェコ好きの日記

「ファミレスのハンバーグ」はだから、彼がリアルに想像できた範囲内では本当に、この世でいちばん贅沢な食事だったのだと思う。 想像力には限界がある。想像力の向こう側へは行けない。

想像力の向こう側 - チェコ好きの日記

おそらく、この元となるブログは後に挙げる「無への道程」だと思うが、もしそうであるならば、彼は「贅沢」して生きる選択肢がそもそも無かったわけではなく、「選択肢に入れてはいたが、すすんで選ばなかっただけ」の状態だったはずだ。

1800円ステーキが出てくる当該記事(最後から2番目の記事)で、彼はこのように綴っている。

でも1800円のサーロインステーキが精神的に限界。
高級料理店なんて店に入っただけで食欲がゼロになりそう。

さらに言ってしまえば「パーッと使って短く生きるか」「ゆったり生きるか」はちゃんと選択肢の中に入っていて、父親の退院の記事の中で、どちらを選ぶか悩んでいることを綴っている。(ただし、その結論については書かれていない)

結局は、どのような理由にせよ「余生は密度を求めずゆったり生きる」事を選んだまでだった。(一応、自殺宣言以降の全記事を読めば、その理由もなんとなく察せそうではあるが、確信はないので言及しない。)

単に「読解力の問題」という可能性もある。

が、そもそもこの「想像力の向こう側」の話通り、「人間は、想像力の範囲内でしか動けない。」ゆえに、少しずれた感性「作者が自分の気持ちを記事で、ほぼ毎日吐露したとしても、理解されない」状態になるんだろうと個人的に思った。

といっても、常軌を逸した違法労働・モラルを欠いた営利活動の果てに達観した人の感性について、共感できない人が一定数いるのは致し方ないかと思える。

自殺者の感性を知るには自殺者のブログを読むのが一番

大抵の人は自殺した人と、普段から会話をし、付き合うといった経験は難しい。

そこで、すでに自殺した(と思われる)人のブログを読むのが良いと思う。

以下に挙げるブログは自殺に至る経緯、己の生い立ち等から記載した、貴重なブログだと思う。(多くの自殺系ブログは、そこまで詳細な記載がないまま、短期に更新が途絶えるケースが多い)

無への道程

エロゲ会社の暴力的かつ低賃金の職場に長年いて勤労意欲を喪失。

FXでセミリタイアを目指すも、東日本震災の際の仕手にやられて大損をこく。

以後、生きるために稼がねばらないことに嫌気がさし、貯金がなくなったら自殺する、という終わりを設けて、その日々を淡々と綴っているブログになった。

無への道程

日本一才能のない漫画家志望(死亡)

いじめられ体質、家庭内暴力(貧困も含む)から元より自殺願望者だったが、漫画家の夢を追い、代アニに行き、画力を磨く。漫画投稿サイトに作品を投稿するなど、精力的な活動も行う。

が、著名漫画家のアシスタントに採用されるも、労基ぶっちぎりの低賃金・長時間・暴力・パワハラにあい、夢もついえる。加えて父親も解雇にあい、さらに家庭が窮する。

そしておそらく母親と心中したと思われる河川敷の夜の写真で更新は途絶える。

日本一才能のない漫画家志望(死亡)

このブログの感想や総括としては、下記のブログが最も詳しくまとめられ、綴られている。

氏ムシメ - Blue Twilight

若年者の自殺防止の啓蒙として正しいテキストは「人の痛みに鈍感になれ」だと思う理由

自殺ブログを読んでいて彼らに共通して感じたことがある。

「仕事だししょうがない」に関し、自分が相手に与える影響・受け止めることについて、敏感な傾向があると思った。

結局、組織的に稼ぐ中にいるということは、「仕事だからしょうがない」で済まされる(本当は済まされない)ことが内外に多い。

客や取引先から、およそ真っ当な人の口から出るとは思えない言葉を受けることも多いだろう。

  • 人の痛みに鈍感になること
  • 人に与える迷惑に対して、鈍感になること
  • 自分の受ける痛みに鈍感になること

大体世の中の多くの仕事は「違法だがバレても罰則がない上に注意も滅多にされない」「違法ではないがモラル的にそれどうなの?」的なものから成り立ってて、残念ながらそれが正しいのが現状だと思う。

組織的に「誰にも迷惑かけずに正しく作って」「誰にも迷惑かけずに正しく売る」って不可能でしょ?

内外共に仕事ができなかろうが稼ぐために相手を傷つけようが、「仕方のない事」として割り切れる鈍感力が必要。

見る限り、最終的にうまい妥協点を見つけてる人達が生き残っている。

よって最適な啓蒙テキストは「仕事だし、しょうがない。割り切れ、鈍感になれ!」じゃないかな。

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最後に:そこまでして生きなきゃいけない意味

ないね。

だからかの自殺系ブログの作者みたいに「達観」される前に啓蒙することが、若者の自殺防止プロジェクトには必要な気がするのだ。

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