なぜ「はたらく言葉たち」は心に響かないのか:本を読んだ感想レビュー
音楽は言葉に似ている。
美しい音楽は、単なる美しい音の羅列で、できているのではない。
昔読んだ「論理哲学論考」にそう書かれていたのを覚えている。
前回、「はたらく言葉たちの炎上」について記事を書いた。
そのまま「はたらく言葉たち」の本を4巻まで購入して読み進んでみたものの、あまりの面白く無さに、もう途中で苦痛になってしまった。
全体的に単なる言葉の羅列以上の物を感じられなかった。
「はたらく言葉たち」が生まれた背景が全く分からない
その言葉が、素晴らしい仕事によって生まれたのか、はたまた今となっては不祥事を起こした会社によって生まれたのか、見当が付かない。
たとえば、「納期は人命より重い」と掲げている会社で「無事故無違反」でやってきたのか、「安全装置を切るなど、安全に対してずさんであった」かで、その言葉の意味が変わってくる。
しかし、この「はたらく言葉」については、発言者がぼかされているため、そういった背景を知ることができない。
ワタミの「ありがとうを集める」を中吊り広告から来る違和感の増大
阪急電車でやってるはたらく言葉ってキャンペーン的なやつで、電車の広告が全部ありがたーいお言葉に変わってるんやけどまじで酷いよこれ。なんで炎上してないのかわからない。本当に酷い。全部こんな調子だから疲れてる時に見たら普通に吐き気する。 pic.twitter.com/xxS4yN1aKd
— 歌犬 (@singingdog31) June 9, 2019
この中吊り広告には、ワタミのメッセージには「外食チェーン/経営 40代」とある。
このブログでも突っ込まれている。
創業者の渡邉美樹氏の言葉だと思われる(現在59歳だが、書籍「はたらく言葉たち」掲載当時は40代だったのだろう
この本は「2012年初版発行」、この時点ですでに50代。
つまり、本が発行される以前の何らかのインタビュー・取材で話したのか、あるいはボカしを入れるためフェイクを入れたか、どちらかになる。
一応、この本によれば「『はたらく言葉』はすべて取材を通して出てきた言葉」とされている。
残念ながら、どのようなインタビューで発せられた言葉なのか、知る術がないため違和感が増してくるのである。
言葉は、発した人の人なりによる
どんな積み重ねによって生まれた言葉か、またはどんな人から生まれた言葉か分からない言葉には価値がないと改めて思い知らされる本だった。
読み進めていくには勇気と気力がいる。
ネタ探しか何かでないと、心は折れてしまうかもしれない。
おまけ:心を捉える言葉はどういうものか
世間(世界)が必要としているものと
自分の才能が交わっているところに
天職がある
人は繰り返し行うことの
集大成である
だから優秀さとは行為でなく習慣である
いずれも、紀元前の哲学者「アリストテレス」の言葉らしい。
おまけ2:1~4巻で印象に残った「はたらく言葉たち」の最強メッセージ
強いメッセージに集まってくるのは、弱い奴。
クリエイティブ/取締役 30代
–はたらく言葉たち 2 より出典。
強い!すごい煽り!!
個人的に4巻までに存在する言葉の中で最強だと思う。
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