WHOゲーム障害の精神疾患認定、自主規制の話や今後の予想について
昨日「ゲーム障害」話題になっていてTwitterトレンドに上がっていたので、こちらでも色々と考察していきたいと思う。
事の発端はICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の改定で「ゲーム中毒(ゲーム障害)」が疾患として認定されることになった。
ICD-11によれば、ゲーム障害の特徴的な症状は、「ゲームをする時間や頻度を自分で制御できず、ほかの活動よりもゲームを優先させる程度が甚だしいこと」。そして、「ほかの関心や日常的な活動よりゲームが優先で、悪影響が生じていてもゲームを続ける、または増やす」状態だ。
まぁ、ギャンブル中毒と同じようなもん、だろうとは思う。
かつて、業界ではゲーム中毒に対して自主規制的があった
こうしたゲーム中毒に対し、業界的に、特に日本、韓国、中国のゲームにおいては、「長時間プレイ」について自主規制的なものがあった。(というか、韓国・中国に関しては規制っぽいものがあったからだとは思うが)
日本のパッケージの説明書には必ず書いてあった「健康を害する可能性があるため、長時間プレイには必ず休憩を取りましょう」とか「ゲームは1日1時間」なる言葉が流行もあった。
中国の規制においては、長時間プレイになりやすいMMORPGに対して規制があり、それに沿った形で韓国のMMORPGには「疲労度」というプレイ時間が長くなれば長くなるほど効率が悪化するシステムが組み込まれたりした。
なお、中国で大人気だったFPS「crossfire(クロスファイア)」に関しては、一定時間プレイするごとに「宿題・仕事は大丈夫ですか?」「〇〇時間プレイしました、すこしストレッチをしましょう」みたいなメッセージが流れる。
ゲーム中毒には死亡リスクがある
過去の記事でも触れさせてもらったが、長時間ゲームプレイで死ぬ事故が報じられている。
ゲーム中毒には死亡リスクがある。
死亡リスクがあるから自主規制をした、というわけではないが、ゲーム中毒に対する社会的影響を考慮した形での規制となる。
自主規制が消えた考察:説明書の撤廃、モバイルの台頭、欧米が主軸説
こうした業界の自主規制は、いつしか見られなくなった。
おそらく原因を探るにせよ、下記が挙げられると思う。
- 説明書がないゲームが増えた
- 自主規制おかまいなしのモバイルゲームが台頭
- ゲームの主流市場が(おそらく自主規制のない)欧米になった
当たり前の話だが、ビジネスの競争では自主規制をしてる方としていない方が競争した時、自主規制側が負けるのは当然の流れ。
自主規制して売り上げ下がったらどうすんだよ、バカなの死ぬの?
結果的に、業界全体として「ゲーム中毒」には向き合わなくなった。おそらく世界的に。
膨大なプレイ時間を遊べるゲームの台頭、ガチャビジネスの台頭
一方でゲームの在り方も変わってきた。
昔の買い切り型、一回やったら終わり系のゲームとは違う。
- ネットを通じた対戦等が可能になり、膨大なプレイ時間が必要、もしくは無限に遊べるゲームが増えた。
- 射幸心を煽ったガチャ(ルートボックス)系の販売手法により、その気になれば、かかる費用も無限になるゲームが増えた。
- 基本無料というジャンルの台頭、プレイするだけならその敷居は一気に低くなった。
「昔はゲームでドハマりし過ぎてついつい三日間、寝食忘れてプレイしちゃったよ」「廃人(笑)」と、笑い話だったものが、そろそろさすがにシャレになんなくなってきた。
ゲームには射幸心を煽る仕組みが存在し、そして、業界全体の流れとしてこういったゲーム中毒に対しては何ら向き合わず、自主規制もされていないと見なされた時、外部からのアクションが必要である、という流れになるのは自然のこと。
WHOのゲーム障害認定の今後の影響、最大は年齢制限
メディアがどこまで伝えられているか知らないが、個人的には憶測ではあるものの、正式にゲーム障害が認定された場合の影響で、最も業界として懸念されるのが「年齢制限」だと思う。
ギャンブルやアルコールと同じく疾患と認定された後は、同じように未成年者への対応を迫られることが予想される。
その時、年齢制限をしなくて良い条項に「中毒にならない工夫」が出てくるかもしれない。
ゲーム業界も自主規制をせざるをえなくなる。
おそらく、もう一度自主規制が復興し「長時間プレイ時はやめましょう。どうしてもする場合は休憩取りましょう」という標語やかつての「疲労度システム」の復活。
そしてその時は「昔はゲームでドハマりし過ぎてついつい三日間、寝食忘れてプレイしちゃったよ」「ゲーム障害(笑)」と笑い話になっているかもしれない。
おまけ:メディアにも影響が出てくるか?
例えば、このブログでも取り扱っている広告「GoogleAdsense」では「酒・たばこ・ギャンブル系」の記事には色々と条件が付く。
つまり、ゲーム障害の認定後には、ここに「ゲーム」に関する条件が加わる可能性が出てくる。
個人ブロガーはあまり関係ないとしても、商業メディアにとっては気になるところだろう。
おまけ:ゲーム実況イベントやライブプラットフォーム業界も影響でてくると予想
当然、ゲーム実況プラットフォーム「Twitch」や「Youtube Live」での長時間実況プレイについても、何らかの措置はとられると思う。
そうなると、夜通し行われる「Lan Party」などのイベントにも影響は出てくると思う。
さらに言えばeスポーツ系の影響も少なからず出てくるものと思われる。
超おまけ:個人的な思い出
昔、iモードだのの時代、モバイルゲームには電話サポートが必須という条件があって、スマホへの移行過渡期にも、もちろんそれが続いてたりするわけで。
それをやったことある身としては「それうちの作品と関係なくね?そりゃ、もうスマホの契約打ち切っちゃえばいいんでない?」案件サポートが、まぁまぁ出てくるわけで、
これそのまんまスマホ普及したら、なんか規制的なもの入るんだろうなぁっと薄々思ってたわ。
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