ゲーム実況動画の収益化:任天堂ガイドライン改定と他ゲーム企業のポリシーまとめ
任天堂のガイドラインが改定され、改めて法人利用についても言及することになった。
法人のゲーム動画投稿に関する項目に「投稿者が所属する団体の業務として行う投稿」が、ガイドラインに追加され、原則的には企業または団体によるゲーム実況動画は提携している例外を除いてNGになった。
せっかくなので国内・国外の大手ゲームメーカーのポリシーをまとめてみた。
きちんと守って真っ当で、おりこうさんなゲーム実況者になろう!!
任天堂のガイドライン:個人利用のゲーム実況動画の収益化についてOK、法人はNG
原則において、個人が動画投稿する際に実況動画や紹介動画など、プレイヤー自身のリアクションや加工編集(おそらく、字幕やテロップ)などがあれば、創作性を認められて権利侵害には当たらない、という考えで大丈夫だろう。
※(その他禁止事項はある、各国の法令や改造を施したゲームでのアップは禁止)
法人による利用はガイドライン適用外、例外として一部の企業に許可を行っている
ガイドラインによれば、規定を満たしていれば個人によるゲーム実況動画などの配信はOKとのことだが、法人は一部の提携した企業以外ではNGとなっている。
許諾した企業は下記の通り
- UUUM株式会社(吉本興業所属を含む)
(ヒカキンとかいるところの事務所) - 株式会社ソニー・ミュージックマーケティング
- 株式会社東京産業新聞社(ガジェット通信)
メディア「ガジェット通信」。全く関係ないけど、僕も寄稿したことあるで!(自問) - いちから株式会社
VTuberの事務所
個人の見解:この方式なら企業系配信者でも可能では
見たところ、この形式だとアウトというのは間違いない気がする。
ゲーム実況で発生した収益が直接法人に行くのは、法人の営利目的という形になる。
では次のパターンは当てはまるだろうか?
たとえばYoutube収益自体は配信者(タレント)個人のものに設定。
収益はタレントのものになるので、ゲーム実況で得た収益はタレントに全額入る。
そこから事務所所属へ一定手数料として支払う形。
これであれば「個人」の分類になるのではないか、と思ったが、これもダメっぽい。
法人等の団体による投稿や、投稿者が所属する団体の業務として行う投稿は、このガイドラインの対象ではありません
所属団体の業務に対する投稿はアウト。
eスポーツ(オフライン大会)はガイドライン除外、そして個別の許諾は行っていない
原則、任天堂はゲーム大会に関して個別許諾をしない旨を別途Q&Aで提示している。
そのまま引用すると、下記のような解答だ。
入場料・参加費等の料金を受けない場合でも、宣伝や集客を通じて直接・間接的に営利目的を有していたり、出場者(出演者)に対し報酬が支払われたりする場合には、ゲームソフトの上映について、各著作権者の許諾を得る必要があります。
なお、当社では個別の許諾は行っておりませんので、法律の範囲内でお楽しみください。
【その他】任天堂のゲームソフトを使ってゲーム大会を開催したいと思っていますが、たとえ入場料・参加費が無料でも、任天堂からの許諾は必要ですか?
これは非常に分かりにくい表現だが、個人であからさまな問題にならない文は、OKという考えで良いのだろうか。
ゲーム企業の動画配信と収益化対応まとめ:国内メーカーは総合的に厳しい
国内の大手企業のゲーム動画配信と収益に関する見解をまとめてみた。
総じて厳しい感じではある。任天堂が一番緩いという現実。
カプコン:収益化許諾なし+モンハンワールドの収益化は絶望的
カプコンの基準は最も厳しい。PCを使った動画加工やPCゲーの配信は禁止。
一部例外で「steamで配信されたゲームでsteamの機能の範囲で放送するもの」は許可。
当然のように収益化は禁止。
個人的な感覚では「配信機能が本体に備わっているものはしょうがないから許可感」がハンパないので、配信者は原則触らない方が良いと思う。
格ゲーやモンハンワールドといったゲーム実況動画の収益化は絶望的だろう。
コナミ:動画投稿はOK、収益化許諾なし
動画投稿はOKだが収益化はご遠慮くださいとのこと。
バンナム(バンダイナムコ):不明(許可活動の明記なし)
「原則弊社著作物の利用や収益化について、個人様への許諾活動は行っておりません。」とのこと。
つまり、不明ということ。(まぁ、察しろ、ということだろう)
セガとスクエニは個別のゲームによって違うっぽい
セガとスクエニのものも見てきたが、個別のゲームに様々な回答はあれど、会社の、全ゲームの統一方針的なものは見当たらなかった。
なので面倒ではあるが、配信に使う時はその都度ゲームの公式サイトで見ておくのがよいと思う。
海外のゲームメーカーは大体、ゲーム実況動画や収益化がOKなところが多い印象
続いて海外ゲームメーカー系大手。
こちらは、任天堂と同じく大体緩い感じで個人であればゲーム実況動画の配信や収益化について、OKなところが多い。
また明記の有無に差があるが、Youtubeの収益や投げ銭はOKとしているところも「メンバーシップ(月額会員)用にうちのゲーム出すのは許さない」系の雰囲気はある。
(例:「ゲーム〇〇の実況動画を見たい人は月額〇〇円のメンバー限定の動画で!」「この動画を見るために〇〇円必要です」などは、許さない系の営利で「商業活動」と見なされる)
Ubisoft:R6S(レインボーシックス シージなど)
人種差別などは辞めて欲しい旨などが記載しているが、普通の動画なら収益化もOK。
公式フォーラムは英語だが、Googleの翻訳などを使ってみてみよう
Epic Games:フォートナイトなど
基本的に、ファンアートという形で、別途広告から収益を得るのはOK。
ポリシーも日本語なので、読んで確認できる。
1.4 ファンコンテンツには、商業上(金銭等)の目的が含まれていてはなりません。お客様は、例外的に、広告によりウェブビデオ(YouTubeなど)から収益を得ることができます(ただし、これらのビデオがその他の点において本方針の要件を満たしている場合に限ります )。
EA(エレクトロニック・アーツ):バトルフィールドやFIFAシリーズなど
こちらも原則OKという表明がされている。
ただし、「禁止する権利を持っていること」も表明している。その具体例は述べられていないが、基本的に「任天堂ガイドラインと同等」さらに上記でも述べている「限定動画などの餌にするなどの商業活動利用」は辞めておいた方が良いと思う。
EAはプレイヤーの皆様が当社のゲームに注いでくれる情熱に大いに感謝し、同時にコミュニティから発せられる創造性にも常に前向きです。
EAは動画共有サイトにおけるビデオ映像やスクリーンショットの公正な仕様について異議はございません。
これには、公共にリリースされているゲームバージョンの映像であれば、商業化されたYouTubeチャンネルに対しても同様です。
ロックスター・ゲームス:GTA(グラセフなど)
ゲーム実況などで広告付与による収益化はOKか?
少し具体例がないので不明だが、動画のアップ自体は許されている。
ポリシーは日本語化されている。
「非営利目的」とは、サイトのメンバーシップを有料化しない、またはTシャツや壁紙など、サイト販売商品の宣伝に素材を使用しない場合を含みます。
VALVE:CS:GOなど
Steamの運営でもあり、CS:GOなどの開発も行っているVALVE社。
こちらは自社のゲームについてポリシーを表明している。こちらも日本語版がある。
YouTube パートナープログラムや、他の動画共有サイトにおける同様のプログラムを通じてビデオから収益を得ることについては制限がありません
その他:Steamのゲーム各種の動画と収益化の可否まとめ
Steamで販売されているゲームを中心に動画と収益化が可能かどうかを調べてくれてる人がいるので、他のゲームはそちらを参考にしよう。
最後に:ゲーム実況はOKされても他社のコンテンツを借用しているにすぎないことを意識しよう
ポリシーではOKとされていても、ゲーム実況というのは基本的に他者(他社)のコンテンツを借用してコンテンツにしているにすぎないことを意識しよう。
当たり前だが、ゲームプレイ中に人種差別・ヘイト、物ぶっ壊すなどは避けて、モラルをもって真っ当におりこうさんに借用しよう。
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