任天堂が倒された日:5月9日のMiitomoサービス終了
事実かどうかは分からないけど「任天堂の倒し方、知ってますよ」というワードがグリーから出た、ということで話題になった時期があった。役員達の話によれば、事実ではない、とのこと。
なぜこんなのが話題になったのか、おそらくは、当時のソシャゲに対するゲーム作りの姿勢に対する批判、そして何よりガチャ商法への批判に他ならないと、思う。
そして悪のソシャゲの代表格は「グリー」で、そのカウンターとして「任天堂」が位置されていたと思う。
当時のグリーと任天堂のゲーム作りのメッセージの対比
2011年のニュースより。TGS2011での講演でのこと。
一方、同じく2011GDCでは任天堂の社長による講演があった。
任天堂公式サイトより閲覧ができる。
ここで、ソーシャルゲームについての言及があり、任天堂プラットフォームとの違いを明確にしている。
スマートフォンやソーシャルネットワークのプラットフォームの目的は、そのプラットフォームがつくられた目的もそうですが、私たちとは異なっています。
これらのプラットフォームには、ビデオゲームソフトの高い価値を維持する動機がありません。彼らにとっては、コンテンツは誰か他の人が作るものであり、彼らのプラットフォームにより多くのソフトを集めることが目標となります。より多くの量を集められればお金が流れるのです。量こそ利益の手段であり、価値は大した意味を持たないのです。
として、最後をこう締めくくっている。
今日はTime Gate StudiosのCEOの言葉から私のスピーチを始めさせていただきました。締めくくりも同様にしたいと思います。
彼は言いました。「我々は常に、わくわくするようなゲームのコンセプトを持っており、そして、それが真のビジネスチャンスになれるかどうか検証する。それと反対のアプローチ、すなわち今現在人気のあるビジネス傾向を特定し、そこからどうやって利益を上げるかを検討するというアプローチは、ぞっとする考えだ」と。
2011年はここにグリーと任天堂のゲーム作りの考え方が違いが明確に出た年でもあったと思う。
「任天堂の倒し方」という言葉は、当時「ソシャゲ+ガチャ」で勢いに乗っていたグリーと、それに対抗するゲーム作り哲学を発信していた任天堂だからこそ、信じられた言葉であったのかもしれない。
任天堂の当時のガチャのスタンス
2012年4月27日(金)決算説明会 任天堂株式会社 社長 岩田聡
決算説明会や各メディアなどで語られていたが、公式サイトの資料にも記載されている。
「構造的に射幸心を煽り、高額課金を誘発するガチャ課金型のビジネスは、仮に一時的に高い収益性が得られたとしても、お客様との関係が長続きするとは考えていないので、今後とも行うつもりはまったくない」ということです。これらのことをご理解いただければ、「『どうぶつの森』は、アイテム課金ゲームになるのではないか?」というような誤解をされることもなくなると思います。
任天堂のガチャ商売
任天堂の第一弾アプリ「Miitomo」はサービス終了。
「ファイアーエムブレムヒーローズ」でガチャが導入されたソシャゲ登場、「どうぶつの森 ポケットキャンプ」でもガチャが追加導入。
もうこれでは今、上で述べていたような「ゲーム作り哲学」を任天堂が発信したとしても、誰にも響かないだろう。
今では他のゲームメーカー同様、スマホゲームで「1000億円目指す」という発信をしている。
そう、任天堂もガチャ商売をするようになったんだ。
ガチャ商売とは
かつての任天堂自身のメッセージでの批判や、以前、自分の記事にでも書いたけれど、ガチャ商売は射幸心を煽り、高額課金を誘発するビジネスモデルで「○万円使ったけれど、出なかった」「未成年者は課金額が抑えられて、それでも出ないとかおかしい」という苦情に「悪いけど確率なんで我慢して」というカスタマーサポートをする仕事である。
ちなみに、僕自身はガチャ商売を否定していないし、実際にこの仕事を、もう何年もやっている。
任天堂が倒された日
あの時の、任天堂のゲーム哲学は倒されたんだ。
もちろん、ガチャのあるゲームを出した時がその日という人もいると思う。
僕は個人的に、あの発信で見たメッセージの力が、消滅したように思えたんで、今日を任天堂が倒された日とした。
これからは、そういった意味でも新しい任天堂の始まりなのかもしれない。
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