「イノベーションのジレンマ」ユーザーニーズ追及の果ての破滅
最近、はてブ工作で読者ランキングの人を巡っていて、気になるエントリーを見つけたので、メモ。
この手の話は、ビジネスの分野では答えがあって、ユーザーニーズ追及の果てには、いわゆる「イノベーションのジレンマ」が発生する可能性がある、ということで、学生の頃、レポートした記憶があるわ。
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※ 電子書籍版でも2160円と高い。ある意味、当時学生の僕は、意識高い系だったのかもしれない。
イノベーションのジレンマ
僕がまだ大学生のぐらいのときに、ちょい流行りした理論で、大きな企業が、ユーザーの求めるものを追い続けた結果、全く違う技術革新を用いた同業製品の侵入を許し、自社の優位性を失い、自壊する、という話。
(既存市場で優位に立つ大手企業に、イノベーションが起きない)
ユーザーの顧客満足度を向上させるための主な施策
- ユーザーの求めるものを追加、改良を行う
- ユーザーの求めない機能は消す
アンケートや、今の時代だったらSNSの反応を見て、企業はビジネス行動を起こす。大体は、上記2点。上司からもこう檄が飛ばされるだろう「お客様の声を聞け」と。反論がしようがない。お客様が商品をご購入する以上、これら活動は当然。
しかし、これを積極的に行うことにより、逆に企業は競争力を落とし、新参者の企業のアイデア商品の登場により市場侵入を許し、その果てにピンチに陥ってしまう事例もある。
本でも紹介されている事例はあまりピンとくるようなものではなかったけども、僕らがもっとも体験した事例で身近なのは携帯電話だと思う。
携帯電話で見る事例
日本はかつてガラパゴスと呼ばれるぐらい、携帯電話が発達していた。「i-mode」を筆頭としたWeb機能、絵文字メール、高機能カメラ、防水機能などなど。PCWebが見られるWindows Phone系も存在していたが(W-Zero3シリーズ)こちらはニッチな方に話題があった程度だった。個人的にも「それ、電話として機能しないっしょ」と思った。多くの携帯電話メーカーもPDAには積極的でなかった。
ところが、ある時、このPDA製品を改良して出した「iPhone」が登場。「防水機能なし」「オサイフケータイ機能なし」「絵文字機能なし」「カメラはガラケーより性能低い」「ガラケーより電池の持ちも悪い」「キャリアのアプリストアなんて使わせねーよ?」にも関わらず、それまでの外国製が侵入できなかった日本市場に侵入し、数年足らずであっという間に市場を駆逐し、今に至る。ちなみにPCのWebは当時、携帯電話でも見られた。
顧客満足度ってなんだろう?
つまり、流れ的には色々とアンケート等で言ったけど、「大きなモニタが欲しい」「ボタンは邪魔」ぶっちゃけそれ以外はどうでも良かったのさ、全く言わなかったけどね。が本当の答えだったという。
イノベーションの種は目に見えない
- 「顧客は、実は形を見せられるまで何が欲しいか本当は分かっていない」
(byジョブズ語録) - 「自動車ができるまでは、多くの顧客は乗り心地のよい馬車を求めた」
(by誰か忘れた)
という言葉を思い出した。
そして、この答えはおそらく顧客層は「プロ」ではなく「ド素人」だから。そして、顧客満足度の充足にここまで、資本力のある大企業が傾向するのは、社長及びトップ層もその分野に対し「ド素人」だから。そして基本的に「コスト削減を是とする」とし、小さいものには面倒くさがって興味を持たないし、無駄なものには手をつけないから。(顧客満足度以外に情報を収集する術がなく、且つそれだけで良いと手を抜くから。)
そして、こういう「イノベーション」的なクリエイティブは、情報が存在しないため、何が起こるかも把握しにくいため、「ド素人」には判断が不可能だから。
本が出たのはスマートフォンが出るずっと前だから、「まぁ、そういうこともあるよなぁ」ぐらいの認識の現象だったけど、実際にスマートフォンが出てからの、変容で強く意識するようになった。
最後に:僕はそれを知ってても、お客様の声を聴いて仕事するよ
こういう事例がありつつも、僕はいまだに「顧客の声を聴け!」「顧客満足度が!」とユーザーニーズに踊らされ続け、大した反論もできずに、クリエイティブのない、その場しのぎ的な仕事をしていくのさ。
はいはい、KPI、KPI、くそ!
そう考えると、経営学っていうのは僕らの不満をもっともらしく体系化してくれる捌け口にしかすぎないのかもね。ドラッガーの本もまさにそんな感じだったしね。くそ!
※ KPI:重要業績評価指標のこと。ただし、お勉強が足らないトップ陣営により、単に「ユニークユーザー数」等、数値系各種すべてを「KPIだ!」とされているケースが多い。
追記:
勝間さんのブログでも「イノベーションのジレンマ」の例が取り上げられましたぞよ!(※ 勝間さん内でのイノベーションのジレンマ的なことですが)
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