エロゲ業界の市場衰退の理由を考察:原因は業界の構造説?
エロゲ市場が衰退している。
実数値としてはまとめてくれた人がおり、下記で述べられている画像の通り、本当に衰退しているのだろう。
出典:「エロゲ業界の衰退について矢野経済研究所の資料を基にまとめたら本当に衰退してた」→「違法DLの問題」「スマホに対応していない」「ユーザーが高齢化」などの意見集まる(同人ゲーは除く) – Togetter | ニュートピ! – Twitterで話題のニュースをお届け!
もう何年も前から言われ続けており、様々な仮説が立てられている。
今も同じような説がわざわざ言われているのは「どれもしっくりこない」感があるからだろうか。
先日、ラノベ原因説に疑問視するエントリが話題になった。
一応、エロソシャゲ運用には携わっていたことがあるが、エロゲメーカーには直接は携わったことがないので(カスってはいるかも)、あくまで個人的な雑感として「これじゃないか」みたいな感じの説を述べたいと思う。
エロゲの流通構造原因説

例えば、大手小売り3社があったとして、上記の図のような並び順があったとする。
初回予約特典が「店舗ごとに違う場合」大抵はA社が最も豪華な特典となり、次いでB社、C社となる。
特典制作数には限りがあるので、それ以降の小売りには出せない。
という状況だったとする。
ブームが続いている時は、それでも店に置いてくれるかもしれない。
しかし、そんなブームも終わる頃にはA社以外、特典で劣るエロゲをわざわざ販売する意味がなくなる。
おそらく、エロゲ衰退にはこの小売りによる販売スペースの減少が絡んできてるのが大きいと思う。
そして相手が販売店なため「業界の健全化のためにうちは、そういうことやりません」とも言えない構造ができあがってしまう。
結果として販売店は別にエロゲ販売に依存しているわけではないので、エロゲ販売を取り扱わなくなった。そして、それが全体の発注数としては下がってしまい、エロゲ不況の構造が出来上がったしまった。
というのが、実情ではないかと思う。
「中古品」が蝕む業界
さらにこの時、仮にA社が「有数の中古販売業者」でもあったとする。
例えば、「新作〇〇が売り切れです、残りは中古品しかありません」みたいなツイートがあったとしよう。
中古品は、小売店の利益にはなるけれど、メーカーの利益にはならない。
予め中古品売り上げを予定して、小売店側が初回発注数をその分を抑えることができる。
メーカーは初回特典のためにA社への特典に最もコストを割いているので、もっとも利益率の悪い小売店に依存しなくてはいけない構造になる。
現在もエロゲを販売しているところは、中古も販売しているので、業界全体をじり貧にさせた。とも言える。
ちなみに、不思議だなと思うことにエロゲの商慣習的に「初回発注主義」があり、そのため、じり貧メーカーは初回発注が予定より下回って製品が販売される前に倒産が決まる、というのは普通にある。
中古品のために初回発注が抑えられる、という事態がどれだけメーカーに深刻な影響を与えるか、イメージはつくと思う。
スマホ・ソシャゲ移行による大手資本系の離脱説
もう一つは大手資本系の離脱説。
1990年代後半、アニメの「萌えブーム」が始まり、これに乗じたビジネスを狙って大手資本の参入が検討されるようになる。
ちょうどその頃「To Heart」の成功により、エロゲ発アニメ、一般ゲームのビジネスが注目を浴び、以降はこのモデルを中心としたビジネスが展開されるようになる。
エロゲのメディアミックス戦略である。
- 「エロゲで成功」
- 「一般ゲーム・アニメ、マンガ展開」
- 「グッズ展開」のマルチ展開・メディアミックス
今現在はスマートフォンとソシャゲの普及により、メディアミックスビジネスを狙う市場として、わざわざエロゲ市場が選択肢に入らなくなり、隠された大手資本系が相次いで離脱、ソシャゲ転向。
その分市場が減った、という説。
大手から外部から参入したと推測できるニュース記事があったので追記しました。
ToHeart成功モデルがもたらしたエロゲテンプレ化
大手参入の際、大体どこも「ToHeart」をモデルにしたビジネスを狙っていた。
そこで、今日まで言われる「いわゆるエロゲテンプレ」が成立した。
- 純愛、青春
- ストーリー性
- 学園もの(高校)
- 萌え系
どれもこの傾向を採用したため、業界全体の傾向として多様性が失われることになってしまった、とも言える。
大手がソシャゲでメディアミックス展開を狙ったビジネスをした時も「ガチャ」「キャラクタ」「戦闘物」「レアリティ」といったテンプレが生まれた時と同じように、大体他の成功モデルのテンプレを作るのは興味深い
今後、エロゲが独立した地位として生き残るには「同人の延長戦?」か「ラノベ移入」
それでは、このエロゲが独立した地位として生き残りを図るにはどうすればよいか。
大規模なビジネス展開がメディアミックス戦略しかない以上、規制のあるエロゲは魅力的なビジネスには見えない。
そこでエロゲが独立した地位として生きるにはどうしたら良いか。
僕は、ビジネス展開を狙わない「同人的」なエロゲが最終的に残り、一つの地位として確立していくと思う。
大規模ビジネスにはならないので、小規模の独立した会社が群として成る、昔のエロゲのような形に落ち着くと予想している。
現に同人エロゲー「もんむすクエスト!」「奴隷との生活」は、今も根強い人気を誇っている。(10万本突破クラス)
どれも従来に見られるようなテンプレエロゲではないジャンルで、初回購入特典商法とも無縁なタイトルだ。
もう一つは「ラノベ」もしくは「準ずる萌え系ゲーム」のR18版移入
そこまでエロさを売りにしたいなら、もうエロゲにしちゃいなよ!
という逆メディアミックス戦略も有りではないかと思った。
ディスカッション
コメント一覧
大手資本の離脱?
そもそも、大手資本ってどこ?
葉鍵は世間一般的には中小企業だよ。
エロゲで大手資本と呼べた会社は、伊藤忠の子会社時代のminoriぐらいだと思う。
2000年代初頭~後半にかけての角川・電撃のエロゲ持ち上げは自社コンテンツが育たず、他にもこれといったコンテンツがなかったからだし。
そもそもエロゲそのものは作ってないしね。
こんにちは。すいません、自分の立場上、ちょっと明言は避けたいですね。
当時の会社グループブランドにはもちろん明記されてない感じなので、ちょっとその辺りの暴露はできない感じなのです。
と、思って今、一応、検索してみたら1社(噂とされていますが)出資元の名前を出した大手ニュースがあったので、それを追記しました。
他に知ってる限りで、ぼかして言えば大手小売店系列でしょうか。(ちなみにそれも今エロゲの活動はしていない、と思われます)
まぁ、この辺りはゴシップ憶測の域を過ぎないということで、ただの1説と思っていただければ。