ゲーマー逃避行ブログ

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「My Child: LebensBorn」はノルウェー差別の歴史を知るゲーム:感想レビュー

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先日、話題になっていた、ノルウェーの差別の歴史を描いたスマホのインディーズゲーム「My Child: LebensBorn」(レーベンスボルン)をプレイした。

My Child Lebensborn
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開発元:Sarepta Studio AS
¥360
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舞台は、第二次世界大戦後、ナチスドイツの占領下から独立を果たしたノルウェー。

ここではかつてナチスの計画「レーベンスボルン」(ヒトラーが提唱する「アーリア人」の増加計画、ノルウェーは純血レベルが高いとされた)が置かれた。

ドイツが敗北して独立したノルウェーは、当時ナチスドイツ兵と交わった女性を遺伝的に狂ったものと断定し、強制収容施設送りにしたという歴史を持つ。

今回は、そこで生まれた子供を養子に引き取った里親が、このゲームの主人公となる。

【参考リンク】

アンニ=フリッド・リングスタッド - Wikipedia

※ 収容所に送られる前にノルウェーからスウェーデンに移住できた有名人

「何もかも辛すぎる」「自分を試される」戦後のノルウェーで混血児がどんな目に遭ったかを知る海外のゲームがあった - Togetter

今のノルウェーは寛容政策の代表格国家

そんな歴史を持つノルウェーだが、現在では国際的にも寛容政策の代表格な国である。

  • EUには属していないが、人の移動は自由化している
  • 外国人参政権も認められている

なので、かつてこのような差別がノルウェーであったとは、驚きだった。

My Child: LebensBorn(レーベンスボルン)概要とレビュー:正解はどれ?

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基本的には選択肢を選びながら物語を進める形式のゲーム。

しかし、テーマの重さと行動制限により、選択肢に非常にもどかしく悩まなくてはならないのが、このゲームの特徴でもある。

どれも正解がないように思える選択肢、複数セーブはできない

政府主導の政策、そして憎悪により「周囲の子供だけでなく、大人からも迫害される子を持つ」という状況下で、なんて言ってあげれば正解なのかが非常に分からない。

どれを選んでも、気休めになればマシな方で、根本的な解決に至りそうにないものばかり。

そして、子供の状態を数値で確認するすべはなく、普段の行動から察するしかないのももどかしい。

さらに、複数セーブがなされていない設計のため、考えあぐねた結果で、選択肢を選びつづけなくてはならない。

日々の生活のため、子供と向き合える時間も制限される

1日の行動が制限されており「食い扶持を稼ぐため仕事をする」「子供に与える食事」「風呂にもいかせないといけない」「服も直さなきゃ」と、こんな状況下においても、さらに子供と向き合える時間は制限される。

これらも選択肢に伴い、悩めるポイントとなっていく。

あまりに救いがなく、周回プレイする気になれない

通常、ゲームというのは何回か繰り返しプレイをして楽しむものである。

しかし、このゲームに関しては「子供達だけでなく、周囲の大人も、自治会の役人も、みんなが『売国奴の子』として迫害していく社会」が舞台なので、救いの一手となるものが全く見えず、周回プレイする気にはなれなかった。

このゲームは、集団的な迫害の背景も考察している気がする

ゲームをしていると、周囲の言動や、日記による吐露により、なぜこのような状況になったのかが考察できるようになっている。

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背が高く、金髪碧眼こそ、優れた人種という謎論理を掲げたナチスの思想。

皮肉にもノルウェーの政策も「ナチスに協力した人は知的障害とされ、遺伝的に悪」とされた。

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社会に便乗しただけの学者による、浅はかな考え方による風説がこれを支えることになる。

最後に:このゲームはいじめ・差別に関する無力感を疑似体験する

My Child Lebensborn
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「タイトル画面のロゴの表示時間が長い」「バックグラウンドに行くと、タイトル画面に戻ってしまう」など、不親切設計も目立つ。

しかし、社会情勢の中で、当然のように差別され、迫害される子を持つ「My Child: LebensBorn」は、「ゲームであれば疑似体験が可能」という特性を活かされたゲームだと思う。

複数セーブができない、そしてプレイヤーの行動は統計が取られていて、章をクリアするごとに確認ができる点などから、そもそもこのゲームの目的は「攻略」ではなく、「プレイヤーに悩んでもらい、考えさせること」ではないかと、僕は思った。

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